更新:2021-08-09
制作:2021-08-08

1万円で作る!大容量収納ベッド

7年前に自作した超簡易ベッド(後述)が、そろそろ限界に来ていたので、予算1万円で大容量収納ベッドを自作してみました。

要求仕様

懐具合や今まで使っていたベッドの使い勝手を考慮し、以下の条件を設定しました。

調査

まず設計の参考にするため、量販店・家具店で1~3万円台の低価格帯のベッドフレームを観察してきました。
価格を抑えるために高さを20cm程度にしたり、枠に足とすのこをはめる構造だったり、テーブルと同じ構造にしていたり、部材を薄くして補強は最小限にとどめるといった限界を攻めた設計がなされていたり、すのこの隙間が限界まで広げられていたり、天板の代わりに幅広ベルトを編み巡らせたり、ベルトの張力だけですのこを支えていたり、ベルトはフレームにタッカーで固定しているだけだったりと、様々な工夫・構造があることが分かり大変参考になりました。
1万円台のものは木製・金属製フレームにすのこを乗せたもの、2万円以上のものはカラーボックスで使われているようなプリント紙化粧繊維板に補強をつけて組んでいるものが多いようです。

構造

木製フレーム

まずは、木製フレームに側板・天板を張る構造を検討しました。
設計したところ、安価な1×4のSPF材を使ってもフレームだけで予算大幅に超過してしまうことが判明。
また接合部のほぞ加工は不器用な私には難易度が高く、その代わりに主柱に短い柱をねじ止めし、その上に桁を乗せる方法も考えました。
ただ予算超過はいかんともしがたく、この構造は断念しました。

パイプフレーム

次に車中泊用のパイプベッドを自作している方のノウハウが参考にならないかと思い、調べてみました。
検討してみたところ、軽量ではあるもののフレームだけで予算の1万円に達します。
また横揺れは自動車の座席の後ろ側や壁面で押さえる仕組みになっているため、別途揺れ止めを施すと予算超過になり、天板を貼ることすらできません。
そういうわけで、この構造もあきらめました。

スチールラックの流用

スチールラックをフレームとして使えないかを検討してみました。
横倒しにして設置するだけなので組み立てが簡単で、強度も横揺れ対策も完璧なのですが、ベッドに使えるちょうどいい大きさの商品がありません。
少し大きめのスチールラックを使うと、安くても1.2万円ぐらいで、どう考えても予算超過です。
しかも、今回も天板を貼る予算がありません。

カラーボックスの流用

DIY界隈では定番の、カラーボックスの上に天板を乗せるだけのお手軽ベッドも検討しました。
製作の難易度が低いことがメリットなのですが、収納部が低く狭く区切られてしまうので、大容量収納はあきらめなくてはなりません。
天板の大きさは、多少調整できるとはいえカラーボックスのサイズに左右されてしまいます。
カラーボックスの代わりに、同じ素材で作られた大きい本棚を使用するにしても、価格面で難があります。
そしてこれが最大のデメリットなのですが、小上がりのように上に乗った場合に、強度に不安があります。
カラーボックスは、材質・構造的には垂直の力にはそこそこ耐えられるのですが、横・斜め方向の力には弱いのです。
これに補強材を入れるとなると、ただでさえ少ない収納を削ることになります。
難易度が低い割にはデメリットが多いので、これもあきらめました。

枠構造

そこで、背板のない巨大なカラーボックスを作れないかを検討しました。
木材を使う面積が広いので予算超過になるだろうと思いましたが、積算してみました。
すると住宅の内装の下張りに使われる針葉樹合板や、柱に天井用下地材の野縁を使うことで、予算内に充分収まることが分かりました。
また製作の難易度も高くなく、掛け布団や予備のシーツなどを格納する大容量収納も充分確保できそうです。
そういう訳で、今回は背板のないカラーボックスのような枠を3連結する方式を採用しました。

ベッドの完成イメージ
ベッドの完成イメージ

設計

色分け図を見てもらえばどんな感じかは分かると思いますが、設計意図を説明します。
天板・高さは以前の自作ベッドを踏襲して、シングルサイズよりもやや大きめにしました。
やや大きめに作るといろいろメリットがあります。
まず枕元に目覚まし時計やメガネを置く場所を確保できます。
また寝返りをうった際に、敷布団と天板との余白部の段差のおかげで身体がベッドの端に来ていることにすぐ気づけて、転落を防止できます。
多少の余裕があるので、敷布団が多少ずれていた場合でも、ベッドからすぐには転落しません。

高さは、467mmに設定しました。
なお介護ベッドはマットレスの高さも含めて高さ400mm以下のものが多く、椅子の座面の理想の高さは400mm程度( 身長×0.25-10mm )で、収納付きの小上がりは300mm程度で設計することを考えると、高すぎだと感じるかもしれません。
無駄のない板取り・カット回数を追求してこうなったのですが、ちょっと高くても腰掛けるには支障はないし、逆にベッドからの立ち上がりがとても楽になります。

まず1ユニットの大きさですが、組み立て・引っ越し時の運びやすさと板取りを勘案したところ、1100×745×467mmになりました。
これを3連結すると、1100×2235×467mmになります。
シングルベッド(約1000×2000mm)よりも一回り大きく、セミダブルベッド(約1200×2000mm)よりは幅が少し狭いけれども、長さには充分余裕があるといったところでしょうか。
ちなみに運び出しやすさを最大限考慮して設計するなら、口の字型6連結がベストでした。
ただコスト面で大差がない割には、手間とがたつきのリスクがあることを考慮し、今回は日の字型3連結にしました。

ユニットの色分け図
ユニットの色分け図
(緑色:天板、青紫色:左右面の側板・仕切り板、薄桃色:横面の側板、黄色:柱、濃桃色:木ブロック、クリーム色:端材)

ユニットの構造は口の字型ではなく、中間に仕切り板を入れた日の字型にしています。
天板のたわみ防止の目的だけであれば桁を設けたり中柱を立てればよかったのですが、板取りの関係で側板が余ってしまうので、今回は仕切り板として使用しました。
仕切り板の設置位置は端から約530mmのところなのですが、これが妥当かどうかも調べてみました。
一般の住宅建築ではフローリングだと300mm以下、畳敷きだと450mm以下の間隔で根太を設置すると、耐荷重が180kg/m2以上になるそうです。
ただ上に本棚やタンスなどの重量物を乗せるわけではないので、間隔がフローリング床の2倍弱あっても大丈夫でしょう。

ちなみに材料費を安くしようとして側板と天板の合板でそれぞれ違う板を使うと、板取りの関係で材料の無駄が多くなって高くつ着ます。
そのため、今回は住宅の床・壁の下張りにも使われ、充分な強度がある12mmの針葉樹合板を使用しました。
見た目が気になるようであれば、これに塗料や木材用ワックスを塗ってもかまいません。
材料費は高くなるので採用しませんでしたが、見た目がややましな構造用合板や、化粧合板を使う方法もあります。

収納部については、以前の簡易ベッドは収納部も開放的なのでホコリがたまり放題だったので、その反省から密閉構造にしました。
柱には、天井の下地材として使われる荒材の野縁を使いました。
すべての柱を野縁で作ると約1mの端材が余ってしまうのが嫌だったので、価格的にメリットはありませんが、一部を建物の基礎工事で使われる遣り方の杭で代用しました。
木材をカットすると、のこぎりの刃の幅(3mm程度)だけ木材のサイズが小さくなり、がたつきの原因になることがあるので、柱は側板よりも長さを5mm短くしています。
また木材カットは、素人の手作業だとゆがむのは必至なので、ホームセンターのカットサービスを使用しています。

各部の寸法
各部寸法

材料

店舗や時期によって材料費は変わりますが、材料費の合計は¥9,406でした。
また針葉樹合板の板取りは、下図のようにしました。
材料の合計重量は65kg程度で、またホームセンターの木材カットサービスを使用したので、乗用車のトランクに乗せて持ち帰ることができました。
なおここには書いていませんが、手持ちの材料として木工用ボンドと、ブロックヤスリも用意しました。

板取り図
板取り図

組み立て

紫色で示した側板・仕切り板に、黄色で示したの柱を木工用ボンド・スリムビスで固定し、それを桃色で示した側板に固定します。
側壁同士を直接ネジ止めすると合板が割れたり枠がゆがむ恐れがあるので、側板の角に柱(図の黄色の部材)を立て、さらに板割れしづらいスリムビスを使ってとめます。
スリムビスは柱1面につき3本使用し、さらに強度を増すために木工用ボンドで柱を側壁に貼りつけてからネジどめしています。
また省力化のためニス塗り・塗装はせず、角と木口・表面をヤスリがけしただけにとどめました。
製造元などが印刷されている面が内側に来るように組み立てれば、無塗装でも外見はあまり気になりません。
なおヤスリがけは念入りに行わないと、寝ている間に体にトゲが刺さることがあるので、気をつけてください。

ユニットの天板の裏には、ズレ防止のために現物合わせで木片を打ち付けます。
なお各ユニットの連結は、ズレ防止と引っ越し時の分解を容易にするため、蝶ボルトで隣のユニットと固定します。
ボルトの穴は、現物合わせであけます。

収納部を完全な密閉構造にすると、湿気がたまってカビが発生する恐れがあるので、側板や仕切り板に小さな通気孔を、適当な間隔で9つあけます。
この穴からホコリが侵入するのではないかと懸念する人がいると思いますが、この程度の穴なら問題はありません。
気になる方は、穴の内側に不織布などを張ってください。

最後に板取りの関係で720×455mmの仕切り板3枚と、165×1820mmの板が2枚、柱の端材が5本残ります。
壁の巾木とベッドとの隙間を埋めるために使ったり、ベッドボードを作ったり、他の物を作る材料として活用するなど、各自で工夫してください。

完成

カット・組み立て時の誤差をできるだけ軽減する設計にしたこともあり、天板の高さが最大2mmズレたくらいで、ほぼ完璧でした。
この程度のズレなら、上に敷物や布団を敷くと段差がわからなくなるので問題はありません。
なお、この大容量収納ベッドを使い始めてから、この記事の執筆時点で8か月が経過しましたが、今のところ問題は発生していません。
冬は床を這う冷気に直接当たらないので寒くないし、ふかふかの掛け布団をしまっておける大容量収納も確保できて大満足です。
寝汗が収納部に入り込んでカビが生えることを懸念していたのですが、梅雨になってもカビの生える様子はありませんでした。
また部屋の模様替えのため、一時的にタンスや荷物を天板に乗せたりもしましたが、ビクともしませんでした。
こんなに頑丈なら、もっと薄い9mmの合板で作ってもよかったかもしれませんね。

おまけ - 誰でも簡単に作れる超簡易ベッド

ついでに前述の、7年前に製作した超簡易ベッドについても紹介しておきます。
構造は単純で、農業用の採集コンテナ12個の上に物流用の中古プラスチックパレット2枚を並べて乗せ、手荷物固定用のマジックテープで固定しただけです。
大きさは、市販のベッドよりやや大きめの1100mm×2200×425mmになります。

材料

価格は製作した当時のものですが、材料費¥8,600で超簡易ベッドを作ることができました。
上には書いてありませんが、手持ちの1×4材の端材を使って、高さ15cmくらいのコの字型ではめ込み式の転落防止柵を追加で作りました。
この柵は転落防止はもちろんのこと、2つのパレットをしっかり連結するという目的も兼ねています。

採集コンテナは、果物などの重いものをたくさん入れて何段も積み上げるという使われ方をしますし、田舎の祭りではステージの土台としても使われることがあるので、強度は充分です。
またプラスチックパレットは物流用のものなので、1枚あたり動荷重1トン、静止荷重4トンなので、こちらも強度に問題はありません。
ただパレットの空洞部にある骨は、足などで局所的な加重をかけると簡単に折れてしまいます。
そこで補強として空洞部に、6フィートの1×4のSPF材を半分に切ったものを1本ずつ立てて入れました。

このベッドは誰でも簡単に組み立てることができ、通気性がよいので万年床でも布団がカビないことがメリットです。
またパレットは鋸で簡単に4分割できるので、不要になったときは普通ゴミとして捨てることもできます。
デメリットは、通気性が良すぎるので収納部にホコリが入りまくることでしょうか。
またパレットの上に布団を敷いて長時間寝ていると、パレットの骨が背中に当たって痛くなることがあるので、そのときはにゴムマットを敷くか、厚みのあるマットレスを使う必要があります。
私は、横着して補強用のSPF材を入れずに使っていたので、数年でパレットがボロボロになってしまいましたが、きちんと補強しておけば長く使えると思います。